異国からのリポート(Ⅲ)北インドを旅して

― 印象Ⅳ 長女の愛したデリーの街 ―

 デリーの街を歩いてみると、市民が雑踏でもまれながら、執擁に生きている

姿をみて、街の隅々までが生活の場になっているのかと思った。

 デリーは世界の交通博物館ともいわれている。人、自転車、リキシャ(サイクリングと動力)バイク、自動車、電車、汽車、そこへ牛車や馬車も闖入してくる。

 その雑踏の隙間からスーと現れるのも物乞いの子どもや赤子を抱いた母親、障がい者、老人たちだ。これも生活のひとつの場面なのかよくわからない。そして自分はどうしたらよいのか。自分はいったい何者かがわからなくなる。

 こうした街に長女の萌実は雑踏に生きる魅力を感じていたのだろうか。もちろん、日本の“アメ横”のような物のあふれた街もある。通りから一歩入ったうす暗いところに、小さなホテルがある。その安ホテルの仕事をしているネパールの少年グループも萌実の知り合いだった。

― 印象Ⅴ アムリッツァーの黄金寺院 ―

 アムリッツァーはインドのパンジャーブ州(デリーから飛行機で60分)にあり、スイク教徒によって造られた街であり、その中心的存在に黄金寺がある。

 このスイク教徒の反政府運動で、黄金寺に立て篭もり、数百人の死者を出し、その報復として、当時の首相インディラ・ガンジーはスイク教徒から暗殺された。

 しかし今は平和で観光の中心だ。髪の毛を露出してはダメとのことで、私は手ぬぐいをホッコかぶりした。寺院へは長蛇の列で内覧はあきらめた。一方お昼ごはんを無料で提供している場面にも出くわした。

 ここでも宗教、平和、幸せとは何かと考えさせられた。

以上で異国からのリポートを終りとします。

 まだまだ7泊の旅は、私の大失敗(スリにやられる)も含め、語りたいことは山ほどある。しかし、印象Ⅰ-Ⅴのなかに私が見たり考えたり、未来はどこかで日本ともつながるのではないかの希望をいだいて、インド旅行のベテランで、英語とヒンズー語のできるガイドとして、萌実にとってのインドを親に案内してくれた長女に心から感謝する。(もえぎ新聞 平成26年11月号より 黒岩卓夫)

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